紫外線療法とは
皮膚疾患に効果的な紫外線を照射して治療します
紫外線療法とは、効果的な紫外線を照射することで、乾癬、白斑、掌蹠膿疱症、アトピー性皮膚炎、円形脱毛症などを治療方法です。紫外線の中でも、特定の皮膚病に効果があって副作用を起こしにくい波長だけを照射するので、色素沈着、赤みやヒリつきが起きにくいです。当クリニックでは、難治で従来の治療法ではコントロールが難しい方に併用治療として行っています。症状に合わせて適切な照射量や照射頻度の調整をしていますので、なかなか改善しない疾患に対しても高い効果が期待できます。
保険が適用され、3割負担の方の自己負担は、1回約1000円です。
ナローバンドUVB「JTRAC」
全身への照射が可能なため、一度に広範囲の治療ができます。
照射は、少し暖かいと感じる程度で痛みは全くありません。
治療は週に1~2回受けていただきます。効果の出方は個人差がありますが、アトピー性皮膚炎の場合は3~4回の照射で効果を実感できる方が多いです。
局所紫外線療法「TARNAB:ターナブ」
小さなハンドピースを直接皮膚に当てて照射する為、病変部のみへ照射できます。エキシマと比べて紅斑や色素沈着が生じにくく、細かい病変部にも照射ができるため、白斑や円形脱毛などの顔面や上下肢などの見えやすい部分の治療も安全かつ効果的に行うことができます。
局所紫外線療法「308エキシマーシステム」
308エキシマーシステムは、特に尋常性乾癬に対して効果が強くでます。個人差はありますが、一般的に乾癬の治療の場合は20回程度照射をさせていただきます。
コンパクトな装置なので患部にのみ紫外線を照射できます。
そのため従来の大型の治療機器のように全身の健常な皮膚にまで紫外線を照射することがなく、より強い光を患部だけに安全かつ効果的に照射し治療することができます。
Q&A
Q. 治療時間や間隔はどの程度ですか?
A. 治療範囲にもよりますが1回5~10分程度です。週に1~2回の照射が推奨されますが症状改善後は間隔を伸ばしていきます。照射10回程度で効果を実感される方が多いです。
Q.治療が受けられない場合はありますか?
A. 皮膚がんやその既往がある方、日光に当たることが禁止されている方、光過敏症の方、モーラステープ貼付部位、プロトピック(タクロリムス)などの免疫抑制効果のあるお薬を使用されているかた(医師に必ずご報告ください)
Q. 紫外線治療を受けると皮膚癌になるというのは本当ですか?
A. 通常の太陽光には全ての波長が含まれるため、紫外線を浴びると日焼けや皮膚癌が起きます。UVB治療では治療に有効で有害性の少ない波長のみを照射するのでエネルギー量を抑えることができ、有色人種である日本人には安全に照射することができますのでご安心ください。
尋常性乾癬
紫外線治療効果がほぼ確実に出ることが実証されているのが乾癬です。紫外線を当てるうちに赤みが減り、盛り上がりがなくなり、ガサガサも消えていきます。全身の広い範囲にガサガサした赤みがあれば広い範囲へのナローバンドUVBで、一部だけに出ている場合にはエキシマやターナブを使います。
最近発売になった内服薬である「オテズラ」と併用して紫外線治療を使うことができますので、クリニックでも乾癬の治療はかなり強いレベルでできるようになりました。
尋常性白斑
尋常性白斑は、メラニンを作る細胞が皮膚の一部でなくなり、白くくっきりと皮膚の色が抜けてしまう病気です。ステロイドやプロトピックという塗り薬をぬる治療をすることはあるものの通常は改善せず、紫外線治療が現時点で最も有効な治療法です。細かく照射ができるターナブで治療します。
掌蹠膿疱症
掌蹠膿疱症の症状は、手の平や足の裏に小さな水ぶくれができ、膿になり、かゆみを伴い、赤くカサカサとします。ステロイドやビタミンDの塗り薬が効くものの治りが悪く、紫外線は効果的な方法です。範囲が広い場合はナローバンドUVB、狭い場合はターナブで治療します。
アトピー性皮膚炎
ステロイドやプロトピックをぬるのがメインの治療にはなりますが、難治で赤みの範囲が広くかゆみが強い場合には紫外線治療を行うとかゆみがとれ、症状が改善します。範囲が広いので、通常ナローバンドUVBを使い治療します。
※プロトピック使用中は紫外線療法はできません。
円形脱毛症
不規則な丸い斑状の脱毛が突然起こります。脱毛部分の縁周辺の毛は短く、折れた状態が特徴です。細かい部分に照射でき、赤みや色素沈着の起きにくいターナブを使用します。